戸賀敬城の「イマ」を垣間見れるサイト。「トガナリ。」
はじめて購入したのは30歳くらいの頃。『Men‘s EX』の編集部員として、いまより俄然上昇志向だった頃の自分を思い出します。クラシコ・イタリアを推奨する雑誌にあって、時代はアメカジに軍配があがっており、お決まりの広告出稿先…。そんな状況を打破しようと、モードやハイエンドなブランドにアンテナを張って、コーディネートに取り込んでいました。その中で出会ったのがジョン・ロブです。
当時はまだローファーといえば「怠け者の靴」という言われようで、間違いなく今ほど(日本市場で)市民権を得ていなかった。もとより周りはオールデン一色で、一部のローファーファンはいたもののジョン・ロブという選択肢はあまりなかったように思います。だから、憧れの先輩や作家さんから「それどこの?」と聞かれることもしばしばで、出し抜いた感じがして気分が良かった(笑)。
写真の「ロペス」は4、5年前に手に入れた5足目(だったと思う)。ミラノ出張の帰り、シャルルドゴール空港内。発着までかなり長い時間待たされて、何の気なしにエルメスの隣にあったジョン・ロブへ入ったら、店員に勧められるがままに…。 レースアップのように、サイズ調節できないローファーは【かかとのフィッティング】で相性が決まると思っています。革製品ですから当然、個体差もある(と思っている)。この「ロペス」とも、どうやら相性が良くって一目ならぬ一履惚れでした。
いまや、ローファーを“怠け者”と呼ぶ人はいないでしょう。この靴を見るとたまに、自分を信じて突き進んできたことを「間違ってないよ」と言われるような気持になります。
お決まりを刷新する、戸賀唯一の“お決まり”
ジョン・ロブの「ロペス」
戸賀の愛着
ながらくメンズファッションシーンに身を置く戸賀による、自腹を切って買った『私的名品目録』を認めて参ります。とはいえ、様々な媒体で語られているような、客観的なアイテム紹介をするつもりは毛頭ありません。完全主観の“徒然なるままに”スタイルで、戸賀にとってのお気に入りポイントやエピソードを盛り込んだ“愛着”の深掘りができればと思っております。