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「本物のメルセデス “W124”を所有したことで、どっぷりとMBの沼にハマってしまいました!」現在進行形で進む 戸賀敬城の愛車遍歴決定版!


戸賀編集長がチョイスしたE280は、意外なことにホワイトの外装に、黒のファブリックの内装というベーシックな組み合わせだった
戸賀編集長がチョイスしたE280は、意外なことにホワイトの外装に、黒のファブリックの内装というベーシックな組み合わせだった



数々のクルマを乗り継いできたことから、業界でもかなりの“クルマ通”として知られる戸賀敬城。彼が選んぶクルマが持つそれぞれの魅力、さらには、そこから読み取ることが出来るクルマ選びの基準を、本人の口から語ってもらうのがこの『愛車遍歴決定版!』。話の聞き手は、戸賀(トガ)のCar Ex編集部時代の同期であり、フリーランスエディターの菅原(スガ)。編集部時代は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」ならではの、懐かしい昔のこぼれ話もお楽しみください!


クルマに対する熱意を回復させるために乗ったW124


スガ 前回の愛車遍歴決定版は、英国のオープンカーである「MG RV8」と非常に良くできた道具としての「オペル アストラワゴン」という組み合わせで、人生初の2台持ちをスタートさせたことから始まりました。

そして最終的には、RV8はスポーツカーとして、アストラワゴンはセカンドカーとして中途半端な選択だったことに気付いてしまい、どちらも6か月という「とんでもなく短いスパン」での買い替えとなってしまいました、という感じで話しが終わっています。ここまでは間違いない?


トガ スガ、本当にお前の(前回の)振り返りには、悪意しか感じられないな(笑)。まぁ、言っていることに間違いはないけどね。さらに言うなら、まだあの頃の俺には、英国車の魅力、旧いクルマの魅力が分からなかった部分もある。そして2台のセレクトで妥協してしまった分、理想のスタイルからはかけ離れてしまった、という感じかな。


スガ なるほど。で、俺の記憶に間違いが無ければ、その2台を手放して新たに手に入れたのが、メルセデスのEクラスだったような気がするんだよ。


トガ スガにしては良く覚えている。


スガ 確か、W124のE280だったよな?


トガ 正解。もう5月だというのに雪が降ってくるかも知れない(笑)。


スガ うるさいよ(笑)。俺の中では、「Eクラスのトップに鎮座している『E500』があるにも関わらず、6気筒とはいえE280? トガ、ちょっと日和った?」と思った記憶があるんだよね。


トガ あのなスガ、日和ったワケじゃないんだよ。実際のところは、RV8のせいで、スポーツカーやスポーツドライビングへの想いが完璧に萎えちゃったから、もう一度クルマに対する熱意を回復させるためのクルマ選びをしたって感じ。ならば世界一のブランドであるメルセデスを選ぶしかなかった。「最善か無か」を標榜していたメルセデスのW124を選ぶのは、ごく自然な選択だったと思うよ。

でもE500に手が出せなかった理由は、別のところにもあった。当時の俺はファッション誌へと移行していたから、服や時計などに力を入れなければならなかったんだよ。クルマだけにお金を掛けることができなかった、という裏事情もあった。

だから中型のベンツの、それもハイグレードじゃないE280に乗ったという感じかな。

まぁ、E500は特別な1台だったから、C200とオペルを買ったくらいの俺にはまず回ってくるはずがなかった、という理由もあるんだけどね。


スガ なるほどねぇ。あのクルマ選びは、単純に日和ったワケではなく、編集者ならではの事情なんかもあったのね。



感動すら覚えた、E280の完成度


スガ ところでこのE280、実際のところはどんなクルマだったの?


トガ 95年式のE280は、本当に良いクルマだった。当時の俺は俺なりにクルマのことが分かり始めていたこともあって、E280の完成度には感動すら覚えていた記憶があるよ。新車だったけど、昔ながらのDNAを色濃く継承していた旧き良きメルセデスそのものだった。

乗り味はあくまでもフラットライドで、荒れた道路を走ってもフロアやダッシュボード周りはまったくビビり音がしない。レバーやスイッチ類の剛性も高いし、ATの変速は切れ味が鋭いし、リサーキュレーティングボール&ナット式のステアリングのスーーーッと切れていく感触は最高。往年のメルセデスの素晴らしさが残されたのは、やっぱりW124だったんだということを確信させてくれたのが、E280だった。




大径のステアリングホイールは、リサーキュレーティングボール&ナット式から得られた独特の操舵感をドライバーに与えてくれる。この操舵感を求めて、ネオクラシックなW124を購入する人も少なくないのだとか
大径のステアリングホイールは、リサーキュレーティングボール&ナット式から得られた独特の操舵感をドライバーに与えてくれる。この操舵感を求めて、ネオクラシックなW124を購入する人も少なくないのだとか

スガ W124までが、本物のメルセデスって言う人もいるもんな。


トガ そう。そしてあの頃のメルセデスは、横転事故を起こした時に、乗員がケガを負わないようにガラスサンルーフの装備をやめていたり、フロントウィンドウの雨滴を効率よく拭き取るために長さが可変する1本ワイパーを採用したりするなど、“乗る人のことを考えたクルマ作り”を貫いていたんだよ。




俯瞰からW124のボディ全体を見てみると、サンフールはガラスではなく、スチール製だというのが分かる
俯瞰からW124のボディ全体を見てみると、サンフールはガラスではなく、スチール製だというのが分かる

スガ あ、それ知っている。あの1本ワイパーの独特な動きは今でも覚えているよ。CarExでメルセデスの特集をやった時には、W124まではテールランプの表面に横溝状の凸凹を付けることで、汚れた場合でもブレーキランプが確認できる工夫がされている、みたいな記事を作った記憶もある。自分だけではなく、自分の回りで運転している人たちの安全も考えていたのが、当時のメルセデスだったんだよな。




テールランプを横から見ると、表面に横溝状の凸凹が付けられていることが分かる。これによって、汚れによる他車(者)からの視認性が妨げられることはないという
テールランプを横から見ると、表面に横溝状の凸凹が付けられていることが分かる。これによって、汚れによる他車(者)からの視認性が妨げられることはないという

トガ そういうメルセデスの真摯なクルマ作りの姿勢には、本当に頭が下がるよな。さすがに世界一のブランドだと思う。

でもなスガ、94年に出版された赤池 学さんの「メルセデス・ベンツに乗るということ」を読んで分かったことなんだけど、メルセデスには90年代半ばを境にして、宗旨替えというか、それまでこだわってきたことをほとんど捨てて、コストダウンに走ってしまった過去がある。そこからまったく別物の新しいメルセデスになってしまったんだよ。そのことだけは、本当に残念でならない。あのまま宗旨替えをしなければ、どんなに素晴らしいクルマが生まれていたのかなぁ、と今でも考えることがある。

ちなみにスガも知っている通り、俺は昨年、92年式W124の300E-24を手に入れた。30年以上昔のクルマなのに、走りは相変わらず素晴らしかった。

まぁこの個体は、ネオ・クラシックなメルセデスを正規ディーラーがリフレッシュ&リファインして販売、メンテナンスしてくれる『オールタイムスターズ』から購入したから、極上の個体ではあったんだけど、「最善か無か」を追求したメルセデスの素晴らしさは、時が経っても色褪せないということが分かって、あらためて感動したんだよ。

残念ながら、W124のE280の後に乗り継いだメルセデスには、あまり感動した記憶がないからね。

つまり俺は、W124に新車の時、そして約30年の時が経ってからの2回も感動させられたことになる。だからあの時代に宗旨替えをしなかったら、後世に残る名車がもっと生まれていた気がしてならないんだよ。


スガ 確かに俺もそう思う。でもさ、新車のW124と30年後のW124を、自分の愛車として乗り比べられたというのは、まさにトガならではの体験だよな。

なかなかに貴重な話しだと思うので、機会があったら、もう少し掘り下げても面白いと思う。でも今は、30年前のお前に話しを戻させてくれ。

いつものことになるけど、そんなに気に入ったE280も手放しちゃうんだろ?


トガ それは新たな出会いがあったんだから仕方がない。クルマは出会った時が買い時だから(笑)。でもE280には、2年は乗った。

そのおかげで、すっかりクルマに対する熱意も復活していたし、新しいクルマを購入したい気持ちも高まってきた。ありがたいことに、かなり萎えてしまっていたスポーツドライビングにも俄然やる気が出てきた。


スガ おっ、ということは、ついにスポーツカーに戻る気になったのか?


トガ いや、次はSUV(笑)。でもなスガ、そのクルマとの出会いが、俺のクルマ選びの選択肢を広げてくれたと言っても過言ではないんだ。スガも覚えているだろ?


スガ 全然覚えてない(笑)。あれ? E280の次って、本当に何だったっけ?




次回、「トガ、初のSUVを所有する」に続きます!




往年の“ベンツらしさ”を残したW124。W124こそ、「最善か無か」を体現した最後のモデルという意見も少なくない
往年の“ベンツらしさ”を残したW124。W124こそ、「最善か無か」を体現した最後のモデルという意見も少なくない

メルセデス・ベンツ E280

 全長×全幅×全高:4740mm×1740mm×1445mm

 ホイールベース:2800mm

 車両重量:1530kg

 エンジン:直列6気筒DOHC 2799cc

 最高出力:200ps/5500rpm

 最大トルク:28.2kg-m/3750rpm

 トランスミッション:4速AT


文・菅原 晃



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