「メルセデスのラグジュアリーカーの購入を決意。まずは、SL500(R230)を購入しました」現在進行形で進む 戸賀敬城の愛車遍歴決定版!
- 雄斗 田村
- 6 日前
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更新日:5 日前

数々のクルマを乗り継いできたことから、業界でもかなりの“クルマ通”として知られる戸賀敬城。彼が選んぶクルマが持つそれぞれの魅力、さらには、そこから読み取ることが出来るクルマ選びの基準を、本人の口から語ってもらうのがこの『愛車遍歴決定版!』。話の聞き手は、戸賀(トガ)のCar Ex編集部時代の同期であり、フリーランスエディターの菅原(スガ)。編集部時代は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」ならではの、懐かしい昔のこぼれ話もお楽しみください!
なぜお気に入りのゲレンデを手離すことに?
スガ まずは前回の振り返りからスタートしよう!
「W124のE280を所有したことによって旧き良きメルセデスの素晴らしさを知ってしまったトガは、昔ながらのメルセデスのDNAを継承しているモデルを新車で手に入れることが出来ない現状に、一抹の寂しさを感じていた」
しかし、ある事実に気が付いてしまう。「メルセデスには、まだゲレンデヴァーゲンがあるじゃないか!」
実際にゲレンデを所有してみると、「走らない、走行中は風切り音がうるさい、ピョコピョコ跳ねる乗り心地はトラックと変わらない」そんな最悪とも思えるようなクルマなのだったのに「オーバークオリティとも言える圧倒的な剛性感の中に、メルセデスの『真摯なクルマ作り』をしっかり感じることができたことに、トガはモーレツに感動」
あまりに感動して、人生初となる車検まで取ることになってしまった。ここまでは問題ない?
トガ まぁ、そんな感じだな。
スガ そこで質問です。なぜそこまで惚れ込んだゲレンデヴァーゲンを手離して、サクッと次のクルマに向かったのですかね? それもメルセデスのラグジュアリーモデルを3台乗り継いだらしいじゃん。それも2年という短いスパンで。
トガ いや、だから今回はそれを説明させて貰おうと思っているんだよ。確かにゲレンデは本当に良いクルマだった。だからもっと所有し続けたい気持ちがあったことに嘘はない。でもな、ちょうどその頃、俺の人生に大きな変化があったんだよ。
スガ あの頃にそんな変化なんかあったっけ?
トガ あるだろ! 33歳の時だよ。
ライフスタイルを変えていく必要性を感じた
スガ 33歳? …………う~ん、何も思い浮かばん。というのは嘘(笑)。確かトガが『メンズイーエックス』の編集長に就任したんだよな。
トガ 分かっていれば良し(笑)。そうなんだよ、若者向けのファッション情報誌系から、一気に大人のファッション誌である『メンズイーエックス』に移動したことで、とりあえず、まずは現状のライフスタイルを変えていく必要性を感じたんだよ。
スガ なるほど。編集長はその雑誌の顔だからね。大人のファッション誌って考えると、当時のゲレンデが持っていた質実剛健さよりは、ちょっとラグジュアリー感のあるクルマの方がしっくりくるような気はする。
トガ だろ? だから今回は、単にクルマを変えたかったというよりは、現状のライフスタイルを変えるためのクルマ選びをした、というのが正しいのかも知れない。
ファッションはもちろん大切だけど、ライフスタイルが変わるほどの大きな変化をもたらすには、クルマを変えるのが手っ取り早いと俺は考えたワケだ。
スガ それは正解。クルマを変えると生活面にも大きく変化が起きることは、クルマ好きなら全員感じたことがあると思うからね。この俺でさえ国産車からアルピーヌ、アルファロメオなどに乗り換えたら、ファッションやなぜか飲む酒にも変化が起きたくらいだから。
トガ さすがに酒は関係ないだろ(笑)。
スガ いや、焼酎からワインに移行したから、何か関係はあるハズだ(笑)。ちなみに当時トガが選んだクルマは何だったの? 悩みに悩んで選んだっていう感じ?
R230のメルセデス・ベンツSL500を手に入れる
トガ いや、意外と悩まなかったんだよ。心のどこかで、乗るならこのクルマかな? っていうのは何となく決めていたのかもね。納車された時、俺は34歳になっていた。ということで、俺の人生初となるラグジュアリーカーは、R230のメルセデス・ベンツSL500だったんだよ。
スガ あのフロントの左右に楕円形のライトが2つずつ繋がっているヤツね。当時は超人気のモデルだったよな。フルモデルチェンジしたばっかりの頃は、正規モノの新車が買えないから、並行輸入車がプレミアムプライスで売られていた記憶がある。
トガ バブルはとっくに崩壊して金融系は本気でヤバかったけど、雑誌業界や日本のクルマ業界など影響が少ない業界もまだまだあったからな。だから並行輸入車をプレミアムプライスで購入できる余裕がある人も、まだまだ残っていたっていう感じだった。
もちろん俺が買ったのは、正規モノのSL500。C200エレガンス、アストラワゴン、E280、ゲレンデヴァーゲンと乗り継いできたから、ヤナセとの付き合いも長くなっていたんだよ。だからボディカラーはシルバー、内装は黒というモデルを早いタイミングで納車して貰うことができた。
コストダウンが進められたことを、あらためて感じた
スガ なるほど。ちなみにR230は、当然コストダウンも進んで、旧き良きメルセデスという感じじゃなくなっていたと思うんだけど、実際のファーストインプレッションはどうだったの?
トガ 残念ながら、「ドアを閉めた時の音が安っぽくなったなぁ」と感じたのがファーストインプレッションかなぁ。直前まで質実剛健をそのまま形にしたようなG462のゲレンデに乗っていたから、余計に感じてしまったのかも知れない。
その音で、「クライスラーと合併したことで、コストダウンがかなり進められたんだろうなぁ」ということを、かなり感じてしまったんだよ。
さらに言うと、あのメルセデスを以てしても、「クルマとしてのクオリティが下がってしまうのか……」というのも正直な感想だった。
スガ クルマのクオリティが下がってしまうと感じてしまうのは、ちょっとやるせないな。
トガ エンジンも、V8エンジンがツインカムからシングルカムになったんだよ。メルセデスは燃焼効率を上げるためと説明していたんだけど、これもどうしても安っぽく感じてしまうんだよね。ちょっと寂しさを感じたような記憶があるよ。もう、あの濃厚な時代のメルセデスを新車で手に入れることはできないんだなぁ、と思うと余計にね。

スガ なんか寂しい話しになってきたから、質問を変えよう! 単刀直入に、何か良かった部分は無かったの?
ハードトップ・オープンモデルの魅力を
再認識させてくれたR230
トガ 天下のメルセデスだぜ、そりゃ流石にあるよ(笑)。一番驚いたのは、メルセデス初の電動格納式ハードトップ、これはかなり良い出来だった。俺に、ハードトップ・オープンモデルの魅力を、初めて認識させてくれたのは間違いなくSL500だったよ。
基本的に俺はハードトップより幌が好きだけど、このSLのハードトップは、他のメーカーのオープントップモデルより屋根を閉めていた姿も美しかった。
さらに電動で屋根の開閉ができるんだぜ。使い勝手は一気に向上したし、オープンとは別世界の快適性&静粛性を持つクローズド・ボディを、ボタン一つで、あっという間に手に入れることができてしまう。1台で、オープンの解放感と快適&静粛性を手に入れることができるなんて、かなりポイントが高いと思わない?

スガ 確かにポイントは高いと思う。でも、そんなSL500も半年で手離したんだろ? 当時のSL500はかなり人気だったし、女の子からの評価も良かったと思うから、もうちょっと楽しんでも良かったんじゃないの?
SL500を手離した意外な理由
トガ まぁ、目立っていたのは確かだし、もうちょっと乗っていても良かったのかも知れない(笑)。まだまだ楽しめたとも思う。でもなスガ、ある時、ある事実を知っちゃったんだよ。
スガ おっ、何か面倒なことに気が付いちゃったのか? うわ~、気になる~。教えてくれ!
トガ まったく教えたくなくなる(笑)。でも、今考えると、そんなに大したことでも無いんだよ。
スガ いいから、さっさと教えろ(笑)。

トガ 会社の上の人が、同じSL500に乗っていることが分かったんだよ。それもボディカラーが同じシルバー。こりゃ、さすがにマズいだろ(笑)。ということで、すぐに手放したってワケだ(笑)。
いくら編集長になったからといって、所詮はサラリーマン。まだ34歳なのに上司と同じクルマで、さらに同じ色のクルマに乗るのは、さすがに気が引けたんだよ。
スガ あのなトガ、俺だったら会社に入ってすぐに乗ってきた、真っ赤なカレラ4の方を気にするけどな(笑)。サラリーマンが守るべき“暗黙のルール”みたいなものは、その時とっくにぶち破っている気がするんだよね。
トガ うるさいよ(笑)。ちなみにSL500の後、さらに2台のラグジュアリーなメルセデスを乗り継ぐんだよ。その話しを続けても良いかな?
スガ 了解。ちょっと長くなってきたから、それは次回ということで!

メルセデス・ベンツ SL500 (R230)
全長×全幅×全高:4535mm×1830mm×1300mm
ホイールベース:2560mm
車両重量:1850kg
エンジン:V型8気筒SOHC 4965cc
最高出力:306ps/5600rpm
最大トルク:47.0kg-m/2700~4250rpm
トランスミッション:7速AT
文・菅原 晃
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